自社のイベントや施設を、わざわざ警備会社に頼まず自社のスタッフで守りたい——コストを抑えたい、社内の事情がわかる人間に任せたい、規模が小さいから外注するほどではない。そう考える発注者の方は少なくありません。

このとき最初に浮かぶのが「自社の人間が警備をするのは、法律上問題ないのか?」という疑問です。警備業法という法律があると聞くと、なんとなく「警備は認定を受けた会社しかやってはいけない」と思ってしまいがちです。

結論から言えば、自社の従業員が自社の施設・イベントを警備する「自主警備」は、警備業法の規制対象外です。認定も届出も要りません。ただし「規制対象外=何をしてもよい」ではなく、超えてはいけない一線がいくつか存在します。この記事では、全国の警備会社を地域と業務内容で探せる「近くの警備会社ナビ」編集部が、発注者(施設管理者・イベント主催者・建設会社)の目線で「どこまで自社でやってよく、どこから警備会社に頼むべきか」を、法令の現行条文と照合しながら整理します。

この記事でわかること

  • 自主警備とは何か。なぜ警備業法の規制対象外なのか(根拠条文つき)
  • 「自主警備は違法」という誤解がなぜ生まれるのか
  • 自主警備でよい場面と、警備会社に頼むべき場面の切り分け【比較表・判断フロー】
  • 規制対象外でも超えられない4つの一線(公道/私人の権限/労働安全/線引き)
  • 自主警備を選ぶときの安全確保チェックリスト

自主警備とは|法律ではどう定義されているか

「自主警備」は法律上の正式な用語ではありません。実務上、警備会社に委託せず、自社(発注者自身)の従業員が自社の施設・イベント・現場を警戒し、防止する活動を指してこう呼びます。「自家警備」と呼ばれることもあります。

なぜ自主警備が警備業法の規制を受けないのか。答えは、警備業法が「警備業務」をどう定義しているかにあります。

この法律において「警備業務」とは、次の各号のいずれかに該当する業務であつて、他人の需要に応じて行うものをいう。
一 事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地等(以下「警備業務対象施設」という。)における盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務
二 人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務
三 運搬中の現金、貴金属、美術品等に係る盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務
四 人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務

出典:警備業法第2条第1項(e-Gov法令検索)

ここでの鍵は、末尾の「他人の需要に応じて行うもの」という一句です。警備業法が規制するのは、あくまで他人(第三者)から頼まれて、その需要に応えて警備を行う場合だけです。

自社の施設を自社の従業員が守る行為は、自分(自社)の需要を自分で満たしているだけであって、「他人の需要に応じて」いません。したがって、そもそも警備業法上の「警備業務」に当たらないのです。「警備業務」に当たらない以上、それを行う営業(警備業)の認定(第4条)も、当然に不要です。

警備業を営もうとする者は、(中略)都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の認定を受けなければならない。

出典:警備業法第4条(e-Gov法令検索)

認定(第4条)が必要なのは、あくまで「警備業を営もうとする者」=他人の需要に応じて警備業務を行う営業をする者です。自主警備はこの営業に当たらないため、認定の対象外になります。

「自主警備は違法」は誤解|どこで話が食い違うのか

ネット上では「自社で警備をするのは警備業法違反ではないか」という不安の声や、それを前提にした説明が見られます。しかしこれは、条文の読み違いです。誤解が生まれやすいのは、次の2つの場面が混同されるからです。

場面 「他人の需要」か 警備業法の扱い
自社の従業員が、自社の施設・イベントを警備する 自分の需要 規制対象外(認定不要)
他社に頼まれ、その会社の施設・イベントを警備する(報酬を得て業として行う) 他人の需要 警備業(認定が必要)

後者、つまり他人の需要に応えて警備を「業として」行うのに認定を受けていない場合が、警備業法違反になります。自社で自社を守る前者とは、法的な位置づけがまったく異なります。当ナビとしても、自主警備そのものを不当に危険視して警備会社への委託を煽るつもりはありません。自社でやってよい場面は、堂々と自社でやって差し支えない——これが出発点です。

用語の注意:防犯カメラやセンサーで自社が異常を検知し、自ら警察へ通報する仕組みを「自主機械警備」と呼ぶことがあります。これも自社の需要を自社で満たす活動なので規制対象外という点は同じですが、本記事で扱う「自主警備」は人が現場で警戒・防止に当たるケースを中心に説明します。

自主警備でよい場面・警備会社に頼むべき場面【比較表】

規制対象外だからといって、あらゆる場面を自社で抱え込むのが最善とは限りません。逆に、何でも外注するのがコスト面で合理的とも限りません。判断の目安を整理します。

観点 自主警備で対応しやすい 警備会社への委託を検討したい
場所 自社の敷地・建物の内部(受付・入退館・館内巡回) 公道にかかる交通誘導、公道を使うイベント
規模 来場者・関係者が少人数で、動線が単純 不特定多数が密集し、雑踏事故のおそれがある
専門性 案内・見回り・声かけなど一般的な注意で足りる 群集整理・車両誘導など専門的な判断が要る
責任・リスク 万一の際も社内で対応しきれる範囲 事故時の賠償リスクが大きく、体制の裏付けが要る
継続性 単発・短時間で、通常業務の片手間で回せる 長時間・多数配置・深夜など労務負担が重い
行政手続 許可条件で警備体制を求められていない 道路使用許可の条件で誘導体制を求められている

とくに右列の一番上、「公道にかかるか」は最も重要な分かれ目です。次章の判断フローと、その後の「4つの一線」で詳しく見ていきます。

【判断フロー】自主警備でよいか、警備会社に頼むべきか

迷ったときは、次の順に確認してください。1つでも「委託を検討」に当たる項目があれば、その部分は警備会社への相談をおすすめします(全体を丸ごと外注する必要はなく、公道部分だけ委託する、といった切り分けも可能です)。

  1. 警備するのは「自社の需要」か、それとも「他人の需要」か?
     → 他社から報酬を得て、その会社の現場を守るなら、それは自主警備ではなく警備業です。認定が必要になります(=自社ではできません。警備会社へ)。
     → 自社の施設・イベントを自社で守るなら、自主警備として次へ進みます。
  2. その活動は「公道」にかかるか?
     → 公道での交通誘導や、公道を使うイベントなら、警備の要否とは別に道路使用許可(道路交通法第77条)が必要になる場合があります。許可条件として誘導体制を求められることもあり、専門性が高い領域です。交通誘導警備の会社を探すを含めて検討してください。
     → 自社敷地の内側で完結するなら次へ。
  3. 不特定多数が密集し、雑踏事故のおそれがあるか?
     → 群集が押し寄せる規模のイベントは、群集整理の専門技術が事故防止に直結します。雑踏警備の会社を探すを検討してください。
     → 関係者中心で動線が単純なら次へ。
  4. 万一のとき、自社の体制で対応しきれるか?
     → 賠償リスクが大きい、深夜・長時間で労務負担が重い、専門的判断が必要——いずれかに当たるなら、施設警備の会社を探すなど委託を検討します。
     → 社内で対応可能なら、自主警備で差し支えありません

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規制対象外でも超えられない4つの一線

自主警備は警備業法の規制を受けません。しかし、それは「警備業の認定が要らない」という一点にとどまる話であって、他の法律や責任が消えるわけではありません。自主警備を選ぶなら、次の4つの一線を必ず押さえてください。

一線1|公道は「道路使用許可」と「警察の権限」の領域

自社の敷地内であれば、どこにスタッフを立たせて誘導しようと自由です。しかし公道となると話が変わります。道路交通法は、道路での工事・作業や、一般交通に著しい影響を及ぼすイベントについて、所轄警察署長の許可(道路使用許可)を求めています。

次の各号のいずれかに該当する者は、それぞれ当該各号に掲げる行為について当該行為に係る場所を管轄する警察署長(中略)の許可(中略)を受けなければならない。
一 道路において工事若しくは作業をしようとする者又は当該工事若しくは作業の請負人
(中略)
四 前各号に掲げるもののほか、道路において祭礼行事をし、又はロケーシヨンをする等一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為(中略)をしようとする者

出典:道路交通法第77条第1項(e-Gov法令検索)

この許可は、警備を自社でやるか委託するかとは別の手続きです。そして許可には、交通の安全のための条件を付すことができるとされており(同条第3項)、その条件として交通誘導の体制を求められることもあります。付される条件は個別の現場ごとに所轄警察署が判断するため、公道にかかる案件は事前に所轄警察署へ確認するのが確実です。

さらに根本的な点として、公道で車両や歩行者を法的に「止める・通す」強制力を持つのは警察官等であり、民間の誘導ではありません。これは自主警備でも、認定を受けた交通誘導警備でも変わりません。警備員も含め、民間人の誘導は相手の任意の協力を得て行う「お願い」であって、従わない車両を法的に強制することはできない——警備業法もこの前提を明文で確認しています。

警備業者及び警備員は、警備業務を行うに当たつては、この法律により特別に権限を与えられているものでないことに留意するとともに、他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない。

出典:警備業法第15条(e-Gov法令検索)

つまり公道の交通誘導は、「自社でやれば無料で済む」という単純な話ではなく、道路使用許可の手続きと、警察の権限との切り分けを伴う領域です。委託する場合の必要人数の考え方は交通誘導警備に対応する会社に相談するのが早道です。

一線2|自社スタッフに「特別な権限」はない(現行犯逮捕・正当防衛の限界)

自主警備のスタッフは、法的にはあくまで一般の私人です。制服を着ても腕章を巻いても、権限が増えるわけではありません。トラブルへの対応は、私人に認められた範囲でしかできない点を、あらかじめ現場で共有しておく必要があります。

まず、現行犯であれば私人でも逮捕はできます。

現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

出典:刑事訴訟法第213条(e-Gov法令検索)

ただし、軽微な犯罪については、私人の現行犯逮捕に強い制限がかかります。

三十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、二万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪の現行犯については、犯人の住居若しくは氏名が明らかでない場合又は犯人が逃亡するおそれがある場合に限り、第二百十三条から前条までの規定を適用する。

出典:刑事訴訟法第217条(e-Gov法令検索)

そして私人が現行犯逮捕をした場合は、自分で処分するのではなく、直ちに警察官等へ引き渡す義務があります(同法第214条)。要するに、自主警備のスタッフができるのは「取り押さえて、すぐ警察に引き渡す」までであり、取り調べや長時間の身体拘束、所持品検査の強制などはできません。

暴漢に襲われたときなどの防御については、正当防衛の規定があります。

急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。

出典:刑法第36条第1項(正当防衛・e-Gov法令検索)

もっとも正当防衛は「急迫不正の侵害」に対する「やむを得ず」の行為に限られ、程度を超えれば過剰防衛として処罰の対象になり得ます(同条第2項)。自主警備で怖いのは、善意のスタッフが「捕まえなければ」と勇み足で取り押さえ、かえって自社が加害者側の責任を負う事態です。危険な相手には無理に対峙せず、離れて110番通報する——このルールを事前に徹底しておくことが、自主警備では特に重要です。

警備員の権限も、この私人の範囲を一歩も出ません。専門の警備会社に頼む価値は「強い権限」ではなく、訓練された初期対応と、通報・記録・引き渡しまでの手順が体制化されていることにあります。権限そのものは自主警備と同じ、という点は正しく理解しておきましょう。

一線3|「労働安全」と「使用者責任」は自社にかかる

警備を外注すれば、現場の安全配慮や事故対応の一次的な責任は、原則として警備会社の体制の中で処理されます(ただし、発注者の注文や指図に過失があった場合は、発注者も責任を問われることがあります。民法716条ただし書)。しかし自主警備では、警備に当たるスタッフは自社の従業員です。ここに、外注では見えにくいコストが生じます。

  • 自社従業員の労働災害リスク——警備中の転倒・接触・熱中症・暴行被害などは、自社の労災の問題になります。深夜・長時間の配置は、通常業務に上乗せされる負担です
  • 使用者責任・安全配慮義務——自社の指示で警備をさせている以上、その従業員が第三者に与えた損害や、逆に従業員自身が被った損害について、自社が責任を問われ得ます
  • 本業のリソースを割く——警備に人を回せば、その分だけ受付・運営・接客といった本来業務が手薄になります

「外注費はかからないが、社内の見えないコストとリスクを引き受けている」——これが自主警備の実像です。無料ではなく、コストの置き場所が変わっているだけと捉えると、委託との比較がしやすくなります。自社雇用と委託の費用・手間の比較は警備員を自社で雇う?委託する?で解説しています。

一線4|「自主警備」を装って実質は他社の警備をすると違法になり得る

最後に、最も注意したい線引きです。自主警備が規制対象外なのは、あくまで「自社の需要を、自社の従業員で満たしている」からでした。この前提が崩れると、警備業法の規制がかかってきます。

  • グループ会社・取引先の現場を「手伝い」として警備する:報酬を得て継続的に他社の現場を守れば、それは「他人の需要に応じて行う」警備業務に近づきます。認定のない状態で業として行えば、警備業法違反のおそれがあります
  • イベントで、外部から人を集めて警備に充てる:主催者が自社スタッフで警備するのは自主警備ですが、警備を担う人員を外部の会社に手配してもらう形にすると、その手配元は「他人(主催者)の需要に応じて」警備を提供していることになり、認定を受けた警備業者である必要が出てきます。名目上「自主警備」と呼んでいても、実態で判断されます

迷ったら、「守っているのは誰の需要か」に立ち返ってください。自社のためだけなら自主警備、対価をもらって他社のために提供するなら警備業——この物差しがすべての起点です。外部の人手を借りて警備体制を組むなら、最初から認定を受けた警備会社に委託するのが、法的にも運用上も安全です。お住まいの都道府県から警備会社を探すことができます。

自主警備を選ぶときのチェックリスト

「自社でやる」と決めた場合に、事故と法的リスクを抑えるために確認しておきたい項目です。

■ 事前に決めておくこと

  • 守る対象と範囲(自社敷地内で完結しているか。公道にかからないか)
  • 公道にかかる場合の道路使用許可(道路交通法第77条。所轄警察署に要否と条件を確認したか)
  • 配置人数と動線(無理のない人数か。本来業務に穴を空けないか)
  • トラブル時の行動ルール(危険な相手には対峙せず110番。取り押さえは現行犯かつ引き渡しまで、を全員で共有)
  • スタッフの安全確保(深夜・長時間の負担、暑さ寒さ、単独配置を避ける工夫)
  • 記録の方法(誰が・いつ・何を見たか。異常時の連絡系統)
  • 保険の確認(施設賠償責任保険やイベント保険で、事故時にカバーされる範囲)

■ 警備会社への委託を検討すべきサイン

  • 公道の交通誘導が必要/道路使用許可の条件で誘導体制を求められた
  • 不特定多数が密集し、雑踏事故のおそれがある
  • 深夜・長時間・多数配置で、自社の労務では回しきれない
  • 賠償リスクが大きく、体制の裏付け(教育・保険・記録)を対外的に示す必要がある
  • 外部から人手を集めて警備に充てようとしている(この時点で委託が適切)

1つでも当てはまるなら、その部分だけでも警備会社に相談する価値があります。区分がわからないときは、【無料】警備依頼先診断が目安になります。

よくある質問

Q. 自社の社員がイベント会場の入口で受付・案内をするのは、警備業法の届出が必要ですか?

A. 自社のイベントを自社の社員が案内・受付・見回りする行為は、「他人の需要に応じて行うもの」に当たらないため警備業務ではなく、届出や認定は不要です(警備業法第2条第1項)。ただし公道にかかる誘導や、雑踏事故のおそれがある規模になると、道路使用許可(道路交通法第77条)や専門的な群集整理の必要性が別途生じます。会場が自社敷地内で完結し、来場者の動線が単純であれば、自主警備で差し支えありません。

Q. 建設会社が自社の現場で、自社の作業員に交通誘導をさせてもよいですか?

A. 自社の現場で自社の作業員が誘導する行為自体は「他人の需要に応じて行うもの」ではないため、警備業法の警備業務には当たりません。ただし、その現場が公道にかかる工事・作業であれば、道路交通法第77条第1項第1号により道路使用許可が必要になる場合が多く、許可の条件として交通誘導の体制を求められることもあります。また民間の誘導に法的な強制力はない点(警備業法第15条)も踏まえ、公道部分は交通誘導警備の会社への委託を含めて検討するのが安全です。要否は所轄警察署にご確認ください。

Q. 自主警備のスタッフが、不審者を取り押さえてもよいのですか?

A. 現行犯であれば、私人でも逮捕は可能です(刑事訴訟法第213条)。ただし軽微な犯罪については、犯人の住居・氏名が不明か逃亡のおそれがある場合に限られます(同法第217条)。逮捕した場合は直ちに警察官等へ引き渡す義務があり(同法第214条)、取り調べや長時間の拘束はできません。防御行為も正当防衛(刑法第36条)の範囲を超えれば過剰防衛として責任を問われ得ます。危険な相手には無理に対峙せず、離れて110番通報するのが原則です。

Q. コストを抑えたいので自主警備にしたいのですが、注意点は?

A. 外注費はかかりませんが、自社従業員の労働災害リスク、使用者責任、本来業務が手薄になる負担といった「見えないコスト」を自社が引き受ける形になります。無料ではなく、コストの置き場所が変わるだけと捉えて、委託した場合の費用と天秤にかけて判断することをおすすめします。公道・雑踏・深夜長時間のいずれかに当たる場合は、その部分だけでも委託を検討する価値があります。

Q. グループ会社の施設を、自社の警備担当が守るのは自主警備になりますか?

A. 別法人の施設を、対価を得て継続的に守る場合は、「他人(別法人)の需要に応じて行う」警備業務に近づきます。認定を受けずに業として行えば警備業法違反のおそれがあるため、この場合は認定を受けた警備会社への委託が安全です。判断の物差しは常に「守っているのは誰の需要か」です。

まとめ|「誰の需要を守るか」で線を引く

自主警備とは、自社の従業員が自社の施設・イベントを警備することです。警備業法第2条第1項の「他人の需要に応じて行うもの」に当たらないため規制対象外で、認定も届出も要りません。「自主警備は違法」というのは誤解で、自社でやってよい場面は堂々と自社でやって差し支えありません。

ただし、規制対象外という結論は「警備業の認定が不要」という一点にとどまります。次の一線は、自社でやる場合も超えられません。

  1. 公道は道路使用許可と警察の権限の領域——道路交通法第77条。民間の誘導に強制力はない(警備業法第15条)
  2. 自社スタッフに特別な権限はない——現行犯逮捕は私人でも可だが軽微犯罪は制限あり(刑事訴訟法第213条・第217条・第214条)、防御は正当防衛の範囲(刑法第36条)
  3. 労働安全と使用者責任は自社にかかる——外注しない分の「見えないコスト」を引き受けている
  4. 他社の需要を守れば警備業——外部の人手で警備体制を組むなら、最初から認定を受けた警備会社へ

「自社でやってよい範囲は自社で、専門性と権限の壁がある部分は警備会社に」——この切り分けができれば、コストと安全のバランスは取りやすくなります。委託を検討する部分が出てきたら、対応できる警備会社を早めに探し始めましょう。


【出典・参考】
警備業法(昭和47年法律第117号)|e-Gov法令検索(第2条第1項・第4条・第15条)
道路交通法(昭和35年法律第105号)|e-Gov法令検索(第77条)
刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)|e-Gov法令検索(第213条・第214条・第217条)
刑法(明治40年法律第45号)|e-Gov法令検索(第36条)
※法令は2026年7月時点でe-Gov法令検索の現行条文と照合しています。本記事は一般的な情報提供であり、個別の案件に関する法的助言ではありません。道路使用許可の要否・条件は所轄警察署、警備の委託可否は警備会社にご確認ください。