「見積を頼んだこの会社、本当にちゃんとした警備会社なのだろうか」——警備の発注が初めての方が最初に確認すべきなのが、公安委員会の認定番号です。警備業は誰でも営めるわけではなく、法律上の要件を満たして都道府県公安委員会の認定を受けた業者だけが営業できる認定制の業種だからです。
ところが「認定番号 確認」で検索すると、出てくるのは警備業者向けの申請手続きの案内ばかりで、依頼する側がどうやって確認すればよいかをまとめた情報はほとんどありません。しかも2024年4月に確認方法のルール自体が変わっており(認定証の廃止・標識制度への移行)、古い情報も混在しています。
この記事では、全国の警備会社を地域と業務内容で探せる「近くの警備会社ナビ」編集部が、発注者の目線で認定制度の基礎と確認の実務を整理しました。法令はすべてe-Gov法令検索の現行条文と照合しています。
この記事でわかること
- 警備業の「認定」とは何か(警備業法第4条)・無認定営業の罰則
- 2024年4月からの新ルール——認定証の廃止と「標識」制度(同法第6条)
- 認定番号を確認する4つの方法(手順つき)
- 確認時のチェックポイント5つと、要注意サイン
- 当サイトの「認定番号確認済み」表示の意味
警備業は公安委員会の「認定制」|認定番号の正体
警備業法第4条は、警備業の開業要件を次のように定めています。
警備業を営もうとする者は、前条各号のいずれにも該当しないことについて、都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の認定を受けなければならない。
「前条各号」とは警備業法第3条の欠格事由のことで、一定の前科がある者、暴力団関係の命令・指示を受けてから3年を経過しない者、アルコール・薬物の中毒者などが列挙されています。つまり認定とは、「この事業者は法律が定める欠格事由に該当しない」と公安委員会が確認した証しであり、その際に付与されるのが「〇〇県公安委員会認定 第△△△△号」といった認定番号です。制度の成り立ちは警備業の認定制度とはで解説しています。
ポイントは次の3つです。
- 有効期間は5年:認定の有効期間は認定を受けた日から起算して5年です(警備業法第5条第4項)。継続するには更新が必要で(同法第7条)、有効期間が満了すると認定は効力を失います(同法第7条第5項)。
- 無認定営業は犯罪:認定の申請をせず、または認定の通知を受ける前に警備業を営んだ者は100万円以下の罰金に処されます(同法第57条第1号)。名義貸し(認定業者が他人に警備業を営ませること)も禁止です(同法第13条・第57条第3号)。
- 認定業者は全国に10,811:警察庁「令和6年における警備業の概況」によれば、令和6年(2024年)12月末現在の警備業者数は10,811業者です(出典:警察庁「令和6年における警備業の概況」)。
なお、認定は主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会から受けるもので(同法第5条第1項)、他の都道府県で営業する場合は当該地域の公安委員会への届出制度があります(同法第9条)。「東京の会社が埼玉の現場を警備する」こと自体は、この仕組みの中で適法に行われます。
2024年4月からの新ルール|認定証は廃止、「標識」で確認する
以前は「認定証」という書面が業者に交付されていましたが、警備業法の改正により2024年(令和6年)4月1日から認定証は廃止されました。現在の制度は、現行の警備業法第6条が定める標識の掲示義務です。
警備業者は、認定を受けたことを示す内閣府令で定める様式の標識について、主たる営業所の見やすい場所に掲示するとともに、(中略)電気通信回線に接続して行う自動公衆送信により公衆の閲覧に供しなければならない。
かみ砕くと、警備業者は認定を受けたことを示す標識を、①主たる営業所の見やすい場所に掲示し、かつ②自社のウェブサイト等でインターネット公表することが義務です(事業規模が著しく小さい場合等の例外は内閣府令で定められています)。警視庁の案内によれば、標識には次の5項目が記載されます(出典:警視庁「警備業法の改正の要点について」)。
- 認定をした公安委員会
- 認定の番号
- 有効期間
- 氏名又は名称
- 所在地(主たる営業所の所在地)
ウェブサイトへの掲載方法は、トップページに標識を表示する、「標識はこちら」等のリンクからPDFで表示するなど、閲覧者が見つけやすい形とされています。あわせて重要なのが、警備業法第6条第2項の規定です。警備業者以外の者がこの標識やまぎらわしい類似標識を掲示・公表することは禁止されており、標識の掲示義務違反・類似標識の掲示はいずれも30万円以下の罰金の対象です(同法第58条第2号)。つまり現在の制度では、「ウェブサイトに正規の標識があるか」が、発注者にとって最初で最強の確認手段になっています。
認定番号を確認する4つの方法|この順で試す
方法1|会社のウェブサイトで「標識」を探す(最短)
候補の警備会社のサイトを開き、トップページ・会社概要ページ・フッターに標識(または「標識はこちら」のリンク)があるかを確認します。前述のとおりウェブ公表は法律上の義務なので、通常はサイト内で見つかるはずです。標識を見つけたら、認定した公安委員会・番号・有効期間・社名・所在地の5項目を控えておきましょう。
方法2|営業所の掲示を確認する
主たる営業所の見やすい場所への掲示も義務です。打ち合わせ等で営業所を訪れる機会があれば、掲示を直接確認できます。訪問しない場合でも、見積書や会社案内に「〇〇県公安委員会認定 第△△号」の記載があるかを見て、方法1の標識と一致するか突き合わせます。
方法3|都道府県警備業協会の会員名簿を引く
各都道府県には警備業協会があり、加盟会社を検索・閲覧できる名簿を公開している協会もあります(例:東京都警備業協会「加盟企業検索」)。会社の実在確認・所在地確認の裏付けに使えます。ただし協会への加入は任意のため、名簿に載っていない=無認定ではありません(後述のFAQ参照)。
方法4|公安委員会(警察)に問い合わせる
ウェブでも書面でも確認できない、記載に食い違いがある——そんなときは、その会社の主たる営業所を管轄する警察署(生活安全担当)または都道府県警察の警備業担当窓口に照会する方法があります。認定の手続きや標識制度に関する案内は各都道府県警察のサイトにも掲載されています。
確認時のチェックポイント5つ
- □ 有効期間内か:認定は5年更新です(警備業法第5条第4項・第7条)。標識の有効期間が過ぎていないか必ず見ます。
- □ 社名・所在地が一致するか:標識の「氏名又は名称」「所在地」が、見積書・契約書の会社名や登記上の情報と一致するか。別会社の番号を掲げる名義貸しは法律で禁止されています(同法第13条)。
- □ 依頼したい業務の実績があるか:認定は警備業を営む資格の確認であり、区分ごとの得意分野は別問題です。交通誘導・施設・雑踏など、依頼したい区分の実績を確認しましょう。
- □ 書面交付があるか:正規の警備業者には、契約前後の書面交付義務があります(同法第19条)。書面を出さない時点で契約は見送るべきです。
- □ 下請に出す場合の体制:繁忙期に協力会社へ再委託されるケースでは、実際に現場へ入る会社の認定も同様に確認できるとより安心です。
こんなときは要注意|契約前に立ち止まるサイン
- ウェブサイトにも営業所にも標識が見当たらない:掲示・公表は法律上の義務です。「準備中」との説明が続く場合は理由を確認しましょう。
- 認定番号を尋ねてもはぐらかす:正規業者にとって認定番号は隠す理由のない情報です。
- 「認定申請中なので先に契約を」と言われた:認定の通知を受ける前の営業は警備業法第57条第1号の処罰対象です。通知前の業者と警備契約を結ぶべきではありません。
- 便利屋・イベント会社が「見回りもまとめて請けます」と言う:他人の需要に応じて警備業務を業として行えるのは認定業者だけです(同法第2条・第4条)。パッケージの中に警備業務が含まれていないか確認を。
なお、逆方向の注意もあります。認定は「欠格事由に該当しない」ことの確認であって、警備の品質を保証する制度ではありません。認定番号の確認は入口の足切りと捉え、実績・警備計画・報告体制などの比較で最終判断してください(そのほかの契約NGな警備会社の特徴もあわせてご確認ください)。すでに契約中の会社に不安がある場合は、警備会社の変更・乗り換え手順も参考になります。
当サイトの「認定番号確認済み」表示について
「近くの警備会社ナビ」では、掲載企業のうち、編集部が公表情報(各社ウェブサイトの標識等)で公安委員会の認定番号を確認できた会社に「認定番号確認済み」の表示を付けています。表示のない会社が無認定という意味ではなく、編集部が公表情報から確認できていない状態を示すものです。また、この表示は当サイトが警備の品質を保証するものではありません。最終的な確認は、本記事の方法で発注者ご自身の目で行っていただくことをおすすめします。
よくある質問
Q. 認定番号はどんな形式ですか?全国共通の番号ですか?
A. 「〇〇県公安委員会認定 第△△△△号」のように、認定した公安委員会名とセットで表記されます。番号は認定した公安委員会ごとに付与されるもので、全国一元の登録番号制度ではありません。だからこそ「どの公安委員会の認定か」まで含めて確認することが大切です。
Q. 認定を受けた県以外でも営業できるのですか?
A. できます。主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会の認定を受けたうえで、他の都道府県で営業所を設けたり警備業務を行ったりする場合は、その地域の公安委員会への届出制度が設けられています(警備業法第9条)。
Q. 警備業協会に加入していない会社は避けるべきですか?
A. いいえ。協会加入は任意であり、未加入であることは無認定を意味しません。確認すべきはあくまで公安委員会の認定(標識)です。協会名簿は所在確認の補助手段と考えてください。
Q. 有効期間が切れた標識を掲げている会社を見つけたら?
A. 更新手続きの反映が遅れているだけの場合もあるため、まず会社に確認しましょう。説明が得られない場合は、管轄の警察署に相談する方法があります。有効期間の満了により認定は効力を失うため(警備業法第7条第5項)、期間切れのまま営業していれば問題のある状態です。
まとめ|「標識の5項目」を見れば、正規業者かは自分で確認できる
警備業は公安委員会の認定制(警備業法第4条)で、2024年4月からは認定証に代わり「標識」を営業所とウェブサイトで公開することが業者の義務になりました(同法第6条)。発注者は、①会社サイトの標識 → ②営業所の掲示・見積書の記載 → ③協会名簿 → ④警察への照会、の順で確認すれば、正規業者かどうかを自分の目で確かめられます。認定確認を入口に、実績と提案内容で比較して選びましょう。
- 都道府県から警備会社を探す|お近くの候補を一覧で比較できます
- 警備業務の種類まるわかり|1号〜4号を発注者向けに解説
- どの警備を頼むべきか迷ったら:【無料】警備依頼先診断
【出典・参考】
・警備業法(昭和47年法律第117号)|e-Gov法令検索(第2条・第3条・第4条・第5条・第6条・第7条・第9条・第13条・第19条・第57条・第58条)
・警視庁「警備業法の改正の要点について」(認定証廃止の施行日〈令和6年4月1日〉・標識の記載事項・掲示方法)
・警察庁「令和6年における警備業の概況」(警備業者数)
・東京都警備業協会「加盟企業検索」
※法令は2026年7月時点でe-Gov法令検索の現行条文と照合しています。本記事は一般的な情報提供であり、個別の契約に関する法的助言ではありません。
