「フロントの人手が足りず、夜間の見回りまで手が回らない」「外国人のお客様が増え、深夜のトラブルや館内の防犯が心配になってきた」——ホテル・旅館の運営者がこうした不安を抱えたとき、選択肢の一つになるのが警備会社への依頼です。ところが「ホテル 警備」で検索しても、出てくるのは警備員の仕事内容を紹介する求職者向けの記事や、警備会社のサービス案内ばかり。依頼する側が「何を、どう頼めばいいのか」を運営者目線で整理した情報はなかなか見つかりません。

この記事では、全国の警備会社を地域と業務内容で探せる「近くの警備会社ナビ」編集部が、宿泊施設を運営する側の目線で、ホテル・旅館に必要な警備を場面ごとに整理し、手配の進め方までまとめました。法令の記述はe-Gov法令検索の現行条文、訪日客数の統計は日本政府観光局(JNTO)の公表値と照合しています。なお、費用の詳しい相場は施設警備の費用相場|月額いくら?日勤・24時間体制別に試算で扱っているため、本記事では金額の詳説は避け、「どんな安全対策が必要で、どう手配するか」に絞ります。

この記事でわかること

  • なぜ今ホテル・旅館の安全対策が問われているのか(インバウンドの実数・JNTO統計)
  • ホテル・旅館の警備は法律上「1号警備(施設警備)」に当たること
  • ホテル・旅館で必要になる警備業務【場面別の一覧】
  • 常駐・巡回・機械警備の使い分け【比較表】
  • トラブル・カスハラ対応で押さえるべき「警備員の権限の限界」と改正旅館業法との関係
  • 警備会社を手配する流れと、依頼前のチェックリスト

なぜ今、ホテル・旅館の安全対策が問われるのか

背景にあるのが、訪日外国人旅行者(インバウンド)の急増です。日本政府観光局(JNTO)の統計によると、2025年の年間訪日外客数は約4,268万人(42,683,301人・確定値)で、前年(2024年の36,870,148人)を15.8%上回り、初めて年間4,000万人を突破して過去最高を更新しました(出典:JNTO「2025年 国籍別/目的別 訪日外客数(確定値)」)。

宿泊需要が高まり稼働率が上がること自体は歓迎すべきことですが、運営の現場では次のような負担も同時に増えています。

  • フロント業務の逼迫:チェックイン対応に人手が取られ、館内巡回・夜間対応まで手が回りにくい
  • 言語・文化の違いによるトラブル:深夜の騒音、館内ルールの行き違い、酔客対応など
  • 防犯上のリスク:不特定多数が出入りするため、部外者の立ち入り・置引き・車上荒らし等への警戒が必要
  • 夜間の手薄さ:夜勤スタッフが少人数になりがちで、緊急時の初動体制に不安が残る

こうした課題に対し、フロント・清掃・接客とは別に「安全を専門に受け持つ人手」を確保する手段が、警備会社への依頼です。もっとも、警備を入れれば被害がゼロになるわけではありません。警備はリスクを下げ、万一のときの初動を早めるための備えであり、「絶対安全」を保証するものではない、という前提で検討するのが現実的です。

ホテル・旅館の警備は「1号警備(施設警備)」に当たる

まず法律上の位置づけを整理します。警備業法第2条第1項は、警備業務を4つに区分しています(出典:警備業法第2条(e-Gov法令検索))。

  • 第1号:事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地等における盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務(施設警備)
  • 第2号:人や車両の雑踏する場所等における負傷等の事故を警戒し、防止する業務(雑踏警備・交通誘導警備)
  • 第3号:運搬中の現金・貴金属等の盗難等を警戒し、防止する業務(貴重品運搬警備)
  • 第4号:人の身体への危害を身辺で警戒し、防止する業務(身辺警備)

ホテル・旅館の館内警備・受付・巡回・出入管理は、このうち第1号(施設警備)に当たります。宿泊施設は「事務所、住宅、興行場等」に類する警備業務対象施設として扱われ、契約書や見積書の上でも「1号警備業務(施設警備)」として整理されるのが通常です。区分全体の整理は警備業務の種類まるわかりもあわせてご覧ください。

一方で、後述する宴会・イベント・催事の際の来場者の誘導や雑踏対応は、第2号(雑踏警備)の領域に入ることがあります。同じホテルへの依頼でも、通常の館内警備と、繁忙期・催事の雑踏対応とでは区分が異なる場合がある、と押さえておくと見積もりの読み解きがスムーズです。

ホテル・旅館で必要になる警備業務【場面別】

「ホテルの警備」と一口に言っても、施設の規模・立地・営業形態によって必要な内容は変わります。代表的な業務を場面別に整理します。すべてを一度に頼む必要はなく、自館で手薄になっている部分から組み立てるのが基本です。

1. 受付・出入管理(フロント周辺)

宿泊客・関係者・部外者を見分け、館内への不審者の立ち入りを警戒します。ロビーやエントランスに立哨・配置し、来訪者への声かけ、宅配・業者の受付補助、鍵の管理補助などを担う場合もあります。フロントスタッフが接客に集中できるよう、「安全と秩序の維持」を分担するイメージです。

2. 館内・敷地の巡回

客室階の廊下、非常階段、駐車場、大浴場・宴会場まわりなどを定時・不定時に巡回し、不審者・不審物、施錠状態、火災につながる異常(設備の発熱・異臭等)がないかを確認します。無人になりがちな時間帯・場所の「目」として機能します。巡回中心の設計については巡回警備とは|常駐との違い・巡回頻度と料金の考え方で詳しく解説しています。

3. 夜間の施錠・見回り

深夜の出入口の施錠確認、消灯後の館内点検、夜間フロントの補助など。夜勤スタッフが少人数になる時間帯に、防犯と緊急時の初動体制を補うのが狙いです。深夜帯(原則22時〜翌5時)を含む配置は、労働基準法第37条第4項の深夜割増の対象となるため単価が上がる点は、見積もり時に理解しておきましょう(割増の考え方は夜間・時間外警備の割増料金の仕組みを参照)。

4. 防犯カメラ・機械警備との連携

防犯カメラやセンサーによる監視も、宿泊施設の安全対策の柱です。ここで区別しておきたいのが、「防犯カメラの録画」と「機械警備」は別物だという点です。機械警備業務とは、施設に設置した機器で異常を感知し、その情報を基地局(監視センター)に送信して、待機所の警備員が現場へ駆けつける体制までを含む1号警備の一形態です(定義は警備業法第2条第5項、即応体制の整備は第43条)。単なるカメラの録画・モニター監視だけでは、この「駆けつけ」までは伴いません。

カメラは記録・抑止・検知に強く、人による警備はその場での声かけ・確認・初動に強い、という補完関係にあります。無人時間帯はセンサーと駆けつけの機械警備、繁忙時間帯や夜間は人による警備、という役割分担が現実的な設計です。機械警備に対応する会社は機械警備に対応する警備会社を探すから探せます。

5. トラブル・迷惑行為への対応

酔客対応、深夜の騒音、宿泊ルールをめぐる行き違い、いわゆるカスタマーハラスメント(迷惑行為)への対応など。ただしこの領域は、警備員に何ができ、何ができないかを正しく理解しておくことが特に重要です。詳しくは後述しますが、警備員は警察官のような特別な権限を持たないため、対応の中心は記録・冷静な仲介・必要時の通報であり、実力での排除を過度に期待するのは誤りです。

6. 宴会・イベント・催事時の雑踏対応

結婚式、大型宴会、館内イベント、繁忙期の団体客の一斉チェックイン・アウトなど、一時的に来場者が集中する場面での誘導・整理です。人が密集する場所での事故防止は前述のとおり第2号(雑踏警備)の領域に入ることがあり、常時の館内警備とは別枠で手配するのが一般的です。雑踏対応の考え方は雑踏警備とは|イベント・祭事の警備の基礎を参照してください。

常駐・巡回・機械警備の使い分け【比較表】

ホテル・旅館の安全対策は、「常駐(人を置く)」「巡回(見回る)」「機械(センサーと駆けつけ)」の3つを、施設の状況に合わせて組み合わせて設計します。それぞれの特徴を整理します。

方式 主な狙い その場での声かけ・対応 費用感の傾向 向くケース
常駐警備 受付・出入管理・館内秩序の維持 可能(常時人がいる) 高め(配置時間分の人件費) 大型施設、フロント補助や来客対応も必要な館
巡回警備 定時・不定時の見回りによる異常発見 巡回している時間帯のみ 中(巡回回数・時間による) 中小規模、夜間や無人時間帯だけ手当てしたい館
機械警備 センサーで異常を感知→警備員が駆けつけ 不可(感知のみ・対応は駆けつけ後) 低〜中(月額制が中心) 無人時間帯が長い、コストを抑えたい小規模施設

実務では「営業時間帯・夜間は常駐または巡回、深夜の無人区画は機械警備」「繁忙期・催事のときだけスポットで増員」といった組み合わせが多く採られます。どの方式が最適かは、客室数・立地・夜間スタッフの人数・過去のトラブル傾向によって変わるため、警備会社に現地を見てもらったうえで提案を受けるのが確実です。費用面の詳しい試算は施設警備の費用相場をご覧ください。

警備員の「できること・できないこと」|過度に期待しないための線引き

ホテル・旅館の運営者が最も誤解しやすいのが、警備員の「権限」です。結論から言うと、警備員に警察官のような特別な権限はありません。警備業法第15条は、警備業者と警備員について「この法律により特別に権限を与えられているものでないことに留意するとともに、他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない」と定めています(出典:警備業法第15条(e-Gov法令検索))。

つまり警備員ができるのは、あくまで一般市民に認められる範囲の対応です。迷惑行為や酔客への対応でも、実力で強制的に排除したり、身柄を長時間拘束したりすることはできません。窃盗などの現行犯を発見した場合に、一般市民でも認められる現行犯逮捕(刑事訴訟法第213条)を行い、直ちに警察へ引き渡す(同法第214条)ことは可能ですが、それ以外は記録・声かけ・仲介・通報が対応の中心になります。警備員の権限全般は警備員の権限とできること・できないことで詳しく解説しています。

できること・できないことの整理

場面 警備員にできること できない(過度に期待できない)こと
不審者・部外者 声かけ・確認、退去のお願い、状況記録、通報 実力での強制排除、身柄の拘束
迷惑客・酔客 冷静な仲介、責任者・警察への連絡、記録 威圧・強制的な退去、実力行使
窃盗等の現行犯 私人としての現行犯逮捕→直ちに警察へ引き渡し 取調べ、罰則の適用(これらは警察・司法の役割)
宿泊契約の可否判断 状況の把握・報告(判断材料の提供) 宿泊を拒否するかどうかの最終判断(=営業者の権限)

この「できない」部分を理解せずに「警備を入れればカスハラも全部解決する」と考えると、期待と実態がずれてしまいます。警備は抑止と初動の備えであって、万能の解決策ではない、という前提で活用するのが正解です。

改正旅館業法(宿泊拒否)との関係|判断するのは営業者

2023年(令和5年)12月13日に施行された改正旅館業法により、宿泊施設は一定の場合に宿泊を拒否できることが明確化されました。旅館業法第5条第1項第3号は、宿泊しようとする者が「営業者に対し、その実施に伴う負担が過重であつて他の宿泊者に対する宿泊に関するサービスの提供を著しく阻害するおそれのある要求として厚生労働省令で定めるものを繰り返したとき」は、営業者が宿泊を拒むことができると定めています(出典:旅館業法第5条(e-Gov法令検索))。「繰り返したとき」という要件があるとおり、一度の要求で直ちに拒否できるわけではない点に注意が必要です。また同条第2項は、営業者は旅館業の公共性を踏まえ、宿泊しようとする者の状況等に配慮してみだりに宿泊を拒むことがないようにし、拒む場合には第1項各号に当たるかどうかを客観的な事実に基づいて判断し、求めに応じてその理由を丁寧に説明できるようにするものとしています。さらに厚生労働省令(旅館業法施行規則第5条の6)は、障害者差別解消法にいう社会的障壁の除去を求める場合などを、対象となる要求から除いています。

ここで大切なのは、宿泊を拒否するかどうかを判断するのは「営業者」(=ホテル・旅館の事業者)であって、警備員ではないということです。警備員は、その場の状況を把握・記録して営業者に報告したり、必要に応じて警察へ通報したりする補助的な役割を担いますが、拒否の可否そのものを警備員が独断で決めるものではありません。カスハラ対応の体制づくりは、自館としての判断基準・マニュアルの整備が土台にあり、警備はその運用を現場で支える一要素、という位置づけで考えましょう。

2026年10月1日からは、改正労働施策総合推進法により、カスタマーハラスメント対策が事業主の義務になります(第33条第1項)。ホテル・旅館も事業主として、従業員を守るための方針の明確化と周知、相談体制の整備、事後の対応、抑止のための措置などを講じる必要があり、警備員を配置すればこれらに代えられるという定めはありません。厚生労働省の指針(令和8年厚生労働省告示第51号)は、特に悪質なものへの対処の例として、警察への通報、施設への出入り禁止、「法令の制限内において」サービスの提供等をしないことを挙げ、各業法等による定めがある場合に留意するよう求めています。宿泊施設にとってのその定めの一つが、上の旅館業法第5条です。また、館内に常駐する警備員を雇用しているのは警備会社ですが、指針は、自社の職場で働く他社の労働者に対する顧客等の言動についても、同様の方針をあわせて示すことが望ましいとしています。詳しくはカスハラ対策が10月1日から義務化|警備を発注する会社が確認したい4つのことで整理しています。

警備会社を手配する流れ

実際に依頼するときの一般的な流れは次のとおりです。

  1. 課題の棚卸し:フロント補助が必要か、夜間の巡回か、機械警備か——自館で手薄になっている部分を洗い出します
  2. 問い合わせ・現地確認:候補の警備会社に施設の規模・立地・客室数・営業時間・過去のトラブル傾向を伝え、可能なら現地を見てもらいます
  3. 提案・見積:常駐/巡回/機械の別、配置時間・人数、業務範囲の提案を受けます
  4. 相見積もり・比較:配置時間・人数・業務範囲を同一条件にそろえて複数社を比較します(手順は警備の相見積もりの取り方)
  5. 契約・書面確認:警備業法第19条により、警備会社には契約締結前の概要書面と締結後の契約書面の交付が義務づけられています。対応範囲・報告方法・緊急時の連絡体制が書面に明記されているか確認します(書面は同条第3項により、依頼者の承諾があれば電子メール等の電磁的方法での提供も認められています)
  6. 開始・見直し:開始後は報告に目を通し、時間帯や配置の過不足を定期的に見直します

依頼前チェックリスト

ホテル・旅館が警備会社を選ぶときに確認したい項目を整理しました。

  • ☐ 都道府県公安委員会の認定を受けた警備業者か(警備業法第4条。認定番号を確認)
  • ☐ 宿泊施設・ホテルでの警備実績があるか
  • ☐ 依頼したい業務(受付/巡回/夜間/機械警備)に対応できるか
  • ☐ 夜間・繁忙期・催事など時間帯や増員のニーズに柔軟に応じられるか
  • ☐ トラブル・迷惑行為への対応ルールと教育体制がどう定められているか(警備業法第21条で教育が義務づけられています)
  • ☐ 外国語対応や、外国人客とのやり取りを想定した対応方針があるか
  • ☐ 緊急時の連絡・報告の体制(誰に・どのように連絡が来るか)が明確か
  • ☐ 見積の配置時間・人数・業務範囲が他社と比較できる形で示されているか

認定業者かどうかの確認方法は警備業の認定番号の確認方法で解説しています。認定を受けた業者は、認定を示す標識を主たる営業所の見やすい場所に掲示するほか、事業規模が著しく小さい場合等を除きウェブサイト等で公衆の閲覧に供することが義務づけられています(警備業法第6条第1項)。

費用の考え方

ホテル・旅館の警備費用は、施設警備(1号警備)の枠組みで、一般に「警備員1人あたりの時間単価×配置時間×人数」を基本に組み立てられます。金額は、常駐か巡回か機械警備か、配置時間(とくに深夜帯を含むか)、客室数・館内の広さ、繁忙期の増員の有無などで大きく変わります。

本記事では具体的な金額の詳説は避けますが、月額の目安や日勤・24時間体制別の試算は施設警備の費用相場|月額いくら?日勤・24時間体制別に試算で、夜間・時間外の割増の仕組みは夜間・時間外警備の割増料金で詳しく扱っています。いずれにせよ、条件で大きく変わるため、同一条件で複数社の見積を比較することが適正価格を見極める近道です。

よくある質問

Q. ホテル・旅館に警備員を置くことは法律上の義務ですか?

A. 警備業法は「警備を頼む側(施設)」に警備員の設置を義務づけるものではありません。ホテル・旅館に警備員を必ず置かなければならないという一般的な法的義務はなく、各施設が自館のリスクに応じて任意で判断するものです(消防法上の防火管理体制など、警備とは別の安全に関する義務は別途あります)。警備業法が定めているのは、警備業務を「請け負って行う会社」側の認定・教育・書面交付などの規律です。

Q. フロントスタッフに警備も兼ねてもらうのと、警備会社に頼むのはどう違いますか?

A. 自館のスタッフが見回りを兼ねること自体は問題ありません(自らの施設を自ら守る「自主警備」は警備業法の規制対象外です)。一方、警備会社への依頼は、教育を受けた専門の人員を、必要な時間帯だけ確保できる点が違いです。夜勤の人手が薄い時間帯や繁忙期など、自館だけでは体制が組みにくい部分を補うのに向きます。どちらが良いというより、自館で手薄な部分を外部で補うという発想が現実的です。

Q. 外国人のお客様への対応も警備会社に頼めますか?

A. 言語対応の可否は会社・担当者によって異なります。多言語対応をうたう警備会社もありますが、警備員の役割の中心はあくまで安全と秩序の維持であり、通訳・接客そのものではありません。外国語対応を重視する場合は、依頼前に対応方針・体制を具体的に確認してください。

Q. 迷惑客・カスハラ対応を全部任せられますか?

A. 「全部任せる」という考え方はおすすめできません。警備員に特別な権限はなく(警備業法第15条)、できるのは記録・仲介・通報などの補助です。宿泊を拒否するかどうかの判断は、改正旅館業法上も営業者(施設側)が行うものです。2026年10月1日からは、方針の明確化・相談体制・事後の対応などのカスハラ対策が、施設を運営する事業主の法律上の義務になります(労働施策総合推進法第33条)。自館としての判断基準・対応マニュアルを整えたうえで、その運用を現場で支える役割として警備を活用するのが適切です。

Q. 小さな旅館でも依頼できますか?

A. できます。常駐だけでなく、夜間の巡回や、センサーと駆けつけによる機械警備など、規模に応じた選び方があります。まずは「どの時間帯・どの場所が手薄か」を整理し、そこから必要な範囲だけを手配するのがコストを抑えるコツです。

まとめ|自館の手薄な部分から、専門の人手で補う

ホテル・旅館の警備は、法律上は1号警備(施設警備)に当たり、受付・巡回・夜間の見回り・機械警備の連携・トラブル対応・催事の雑踏対応など、場面ごとに必要な内容が異なります。インバウンドの増加で宿泊需要とともに運営の負担も増える中、フロント・接客とは別に「安全を受け持つ人手」を確保する手段として警備会社の活用は有効です。

ただし、警備員に特別な権限はなく、迷惑客対応の中心は記録・仲介・通報であること、宿泊拒否の判断は営業者が行うこと(改正旅館業法)を正しく理解し、「絶対安全」を期待するのではなく、リスクを下げ初動を早める備えとして位置づけることが大切です。自館で手薄になっている部分を洗い出し、常駐・巡回・機械警備を組み合わせて、複数社の提案を同一条件で比較して決めましょう。

ホテル・旅館の警備に対応できる警備会社は、お近くのエリアから探せます。


【出典・参考】
・警備業法(昭和47年法律第117号)|e-Gov法令検索(第2条・第4条・第6条・第15条・第19条・第21条)
・旅館業法(昭和23年法律第138号)|e-Gov法令検索(第5条・宿泊拒否事由/令和5年改正)
・旅館業法施行規則(昭和23年厚生省令第28号)|e-Gov法令検索(第5条の6)
・労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和41年法律第132号)|e-Gov法令検索(令和8年10月1日施行の改正後の第33条)
・厚生労働省「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和8年厚生労働省告示第51号)
・刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)|e-Gov法令検索(第213条・第214条)
・労働基準法(昭和22年法律第49号)|e-Gov法令検索(第37条第4項・深夜割増)
・日本政府観光局(JNTO)「2025年 国籍別/目的別 訪日外客数(確定値)」(2025年年間 42,683,301人・前年比15.8%増・過去最高)
※法令・統計は2026年9月時点でe-Gov法令検索および各公表資料と照合しています。本文中の費用に関する記述はいずれも目安であり、実際は個別の見積によります。本記事は一般的な情報提供であり、個別案件に関する法的助言ではありません。