「商業施設の駐車場で車の出入りが混み合い、接触や近隣クレームが心配」「イベントの臨時駐車場に誘導員を頼みたいが、1人いくらで、何人呼べばいいのか見当がつかない」——駐車場の車両誘導を発注しようとすると、最初に引っかかるのが料金と人数の相場観です。ところが検索して出てくるのは警備会社ごとの料金ページか、警備員の仕事を紹介する求職者向けの記事が中心で、「発注する側が、どの単位で・いくらを目安に頼めばいいのか」がなかなか整理できません。
この記事では、全国の警備会社を地域と業務内容で探せる「近くの警備会社ナビ」編集部が、発注者の目線で駐車場警備・車両誘導の料金を整理しました。料金の物差しになる労務単価は国土交通省の公共工事設計労務単価(令和8年3月適用)、法令の記述はe-Gov法令検索の現行条文と照合しています。断定的な「一律いくら」ではなく、金額が動く仕組みと、比較のそろえ方が分かる構成にしました。
この記事でわかること
- 駐車場の車両誘導は多くが「2号警備(交通誘導警備業務)」に当たること(区分の整理)
- 料金の基本単位は「1人1日(8時間)」で、深夜・休日には割増が乗る仕組み
- 料金の目安になる労務単価は都道府県別であること(全国平均を物差しにできない理由)【一次情報・県別単価表】
- 労務単価に何が上乗せされて請求額になるのか(必要経費・一般管理費・消費税の関係)
- 台数・出入口別の誘導員数の目安【独自の目安表】
- 時間/日/継続——依頼の単位をどう決めるか【判断チェックリスト】
駐車場の車両誘導は「2号警備(交通誘導警備)」に当たる
料金の話に入る前に、駐車場警備が警備業法上どの区分なのかを押さえておくと、見積書の項目や必要な資格の有無が読み解けます。警備業法第2条第1項は警備業務を4つに区分しており、第2号は「人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務」と定めています(出典:警備業法第2条(e-Gov法令検索))。車の出入りで人や車両に危険が生じうる場所での誘導は、この2号警備(交通誘導警備業務)に当たるのが基本です。
ただし現場によっては、性格が混ざります。整理すると次のとおりです。
- 公道に接する出入口での車両・歩行者の誘導:交通誘導警備業務(2号)に当たるのが一般的です
- 施設に付帯する駐車場の場内整理・巡回:施設警備(1号)の一部として契約されることもあります
- イベントの臨時駐車場:来場者の車両と歩行者が集中するため、交通誘導(2号)に雑踏警備(同じく2号)の要素が加わることがあります
そのため見積書の区分名は、契約内容によって「2号(交通誘導)」だったり「1号(施設)」だったりします。呼び名より、どこで・何を誘導するのか(公道に接する誘導があるか、場内整理だけか)を具体的に伝えることが、正確な見積の第一歩です。区分の全体像は警備業務の種類まるわかり、交通誘導に対応する会社は交通誘導警備に対応する警備会社を探すから確認できます。
料金の基本単位は「1人1日(8時間)」
駐車場警備の料金は、一般に「警備員1人あたりの単価 × 配置時間 × 人数」で組み立てられます。相場を見比べるときの基本単位は1人1日(8時間)で、警備会社の料金表もこの単位で提示されることが多くあります。次の要素で金額が動きます。
- 最低受託時間:短時間だけでも「半日(4時間前後)」「1日(8時間)」を最低単位とする会社が多く、1〜2時間だけの依頼でも半日分がかかることがあります。時間貸しか日貸しかを確認しましょう
- 時間帯(深夜割増):深夜帯(原則として22時〜翌5時。労働基準法第37条第4項により25%以上の割増賃金の支払いが必要な時間帯)を含むと単価が上がります(出典:労働基準法第37条(e-Gov法令検索))
- 休日・早朝・繁忙期:土日祝、早朝、年末や人手が逼迫する時期は割増や単価上昇が生じます
- 継続かスポットか:通年の常時配置か、セール・催事・工事期間だけのスポットか。継続契約は単価が下がりやすく、単発スポットは割高になりがちです
- 有資格者の要否:後述する資格者配置路線などでは検定合格警備員(単価が高い)が必要になります
1人あたり単価の考え方は警備員の単価はどう決まる?、時間・人数の見積もり方は警備の労務単価の読み方もあわせてご覧ください。
料金の「目安」は都道府県別の労務単価で読む【一次情報】
「では1人1日いくらが妥当なのか」を判断する物差しになるのが、国土交通省が毎年公表する公共工事設計労務単価です。交通誘導警備員の単価が職種として設定されており、公共工事の積算に使われる公的な数値なので、民間の駐車場警備でもおおよその目安として参考にできます。単価はA・Bの2種類に分かれます。
- 交通誘導警備員A:交通誘導警備業務に係る1級・2級の検定合格警備員
- 交通誘導警備員B:交通誘導警備員A以外で、交通の誘導に従事する者
令和8年3月から適用される単価の全国加重平均は、交通誘導警備員A=18,911円(前年比+5.8%)、交通誘導警備員B=16,749円(同+6.7%)です(出典:国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」)。
ここで最も大事な注意点があります。労務単価は都道府県ごとに大きく異なるため、全国平均を「これを下回る見積は不当」といった閾値には使えません。実際、交通誘導警備員Bは高知県の13,800円から東京都の18,700円まで開きがあります。依頼先の所在地(自分の県)の単価を物差しにするのが正解です。主な都道府県の単価は次のとおりです。
| 都道府県 | 交通誘導警備員A(円/日) | 交通誘導警備員B(円/日) |
|---|---|---|
| 東京都 | 20,500 | 18,700 |
| 神奈川県 | 20,200 | 18,700 |
| 愛知県 | 22,400 | 17,800 |
| 大阪府 | 18,200 | 15,900 |
| 北海道 | 18,700 | 15,500 |
| 高知県 | 16,200 | 13,800 |
| 沖縄県 | 16,800 | 14,300 |
| 全国加重平均 | 18,911 | 16,749 |
※令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価(国土交通省)。金額は8時間・1人あたりの労務単価です。47都道府県すべての単価は国土交通省が公表しています。
もう一つ大切なのは、労務単価は「実勢賃金の平均値」であって、最低賃金でも下限規制でもないという点です。そのため、この金額を割った見積が直ちに違法・不当というわけではありません。逆に、都市部や有資格者を要する現場ではこれを上回るのが自然です。あくまで「かけ離れて安い/高い見積を見分ける目安」として使ってください。県別の相場観は都道府県一覧から各エリアの警備会社を見て確かめられます。
労務単価に何が上乗せされて「請求額」になるのか
注意したいのは、上の労務単価は警備員本人が受け取る賃金の目安であって、警備会社に支払う金額そのものではないことです。公共工事設計労務単価には、事業主が負担すべき必要経費や一般管理費、時間外(休日・深夜を含む)の割増賃金は含まれていません(出典:国土交通省・前掲)。実際の料金は、全国警備業協会の資料が示すとおり、次の順に積み上がります。
- ①労務費(公共工事設計労務単価=警備員本人の賃金相当)
- ②事業主が負担すべき必要経費(法定福利費の事業主負担分、募集費、制服・装備費、研修費など)
- ③一般管理費等(会社を維持・運営するための費用)
- ④消費税
このうち②の規模感は、国土交通省が参考公表している「労務単価+必要経費」の値から読み取れます。たとえば愛知県の交通誘導警備員Aは、労務単価22,400円に必要経費が加わると約33,100円(+約48%)と示されています。ただしこの+約48%は②までの段階で、実際の請負価格にはさらに③一般管理費等と④消費税が乗ります。つまり労務単価に1.48を掛けた額を「これが適正価格」と考えるのは誤りで、そこにさらに諸経費と消費税が加わる、と理解してください(出典:全国警備業協会「警備料金の基礎知識」)。
なお、カラーコーンや保安看板・看板車といった保安資機材を警備会社から借りる場合の費用は、警備員の労務費とは別に積算されます(同協会資料)。見積を比べるときは、資機材が料金に含まれているのかを必ず確認しましょう。費用の内訳の読み方は警備の見積書の内訳の見方、相場の全体像は警備料金の相場で詳しく解説しています。
台数・出入口別の誘導員数の目安【独自の目安表】
「何人頼めばいいか」は料金と直結する一方、法令が台数あたりの人数を定めているわけではありません。人数は、収容台数だけでなく出入口の数・歩行者と車の交錯・ピーク時の集中・場内の見通し・一方通行か対面かで変わります。下表は編集部が現場条件から整理した目安であり、実際は現地を見て警備会社と決めるものだとご理解ください。
| 規模・状況 | 出入口 | 誘導員数の目安 | 考え方 |
|---|---|---|---|
| 小規模(〜50台程度) | 1か所 | 1名〜(混雑時2名) | 出入口の誘導と場内整理を1名で兼ねられる場面が多い |
| 中規模(50〜150台程度) | 1〜2か所 | 2〜3名 | 出入口ごと+場内で1名が目安 |
| 大規模(150台以上) | 複数 | 3名〜 | 出入口ごとに1名+場内整理。歩行者動線が交わる箇所は増員 |
| イベント臨時駐車場(数百台) | 複数+誘導ポイント多数 | 誘導ポイントごとに配置 | 入退場が特定時間に集中するため、動線の要所ごとに人を置く |
混雑が特定の時間帯に集中する現場では、「営業時間まるごと最大人数」ではなく、入出庫が集中する時間帯だけ増員する組み方でコストを抑えられることもあります。人数設計の考え方は警備員の必要人数の考え方で掘り下げています。
有資格者(Aランク)が必要になる場面
駐車場の車両誘導で、単価の高い有資格者(交通誘導警備員A)が必要になるのは、主に公道での交通誘導が絡む場面です。警備業法第18条は、事故が起きると人の生命・身体・財産に危険を生じるおそれがある業務として国家公安委員会規則で定める種別について、検定合格警備員の配置を義務づけています。交通誘導警備業務では、都道府県公安委員会が指定した道路(資格者配置路線)で交通誘導を行うとき、その場所ごとに1級または2級の検定合格警備員を1人以上配置しなければなりません(出典:警備業法第18条(e-Gov法令検索))。
ここでよくある誤解が、「配置する警備員全員が有資格者でなければならない」というものです。義務は「場所ごとに1人以上」であり、たとえば3名配置する現場でも、有資格者(A)が1名いれば、残りの2名は無資格(B)でも適法です。全員をA単価で見積もられていないか、見積書で確認しましょう。自分の現場が資格者配置路線に当たるかは、都道府県警察が路線一覧を公表しています。
依頼の「単位」をどう決めるか【判断チェックリスト】
駐車場警備は「時間単位」「1日単位」「継続契約」のどれで頼むかで、単価も総額も変わります。依頼前に次の6点を整理しておくと、警備会社への相談と見積比較がスムーズです。
- ① 目的:通年の車両整理か/特定日のイベント・工事期間だけか(継続かスポットか)
- ② 時間:営業時間まるごとか/入出庫が集中する時間帯だけか。最低受託時間(半日・1日)を確認したか
- ③ 場所:公道に接する出入口での誘導があるか(=2号・資格者配置路線に当たるかの確認)
- ④ 割増:深夜(22時〜5時)・早朝・休日にかかるか
- ⑤ 資機材:コーンや保安看板を自前で用意するか/警備会社から借りるか(借りる場合は別途費用)
- ⑥ 人数:出入口数・台数・歩行者動線から、必要人数の当たりをつけたか(最終は現地確認で調整)
イベント駐車場に特有の考え方はイベント警備の料金、工事に伴う車両誘導は建設現場の警備もあわせて参考にしてください。
料金を正しく比較するコツ
警備料金は条件で大きく変わるため、各社の見積を同じ条件にそろえて比べることが何より重要です。次の項目をそろえてから複数社に依頼しましょう。
- 配置日・時間帯(深夜・休日の有無まで)
- 人数と配置場所(出入口・場内の割り振り)
- 区分(2号交通誘導か、1号施設か)と有資格者の要否
- 資機材を料金に含むか別途か
- 最低受託時間・キャンセル規定
同一条件でそろえないと、安く見える見積が実は資機材別途だった、といった取り違えが起きます。相見積もりの取り方は警備の相見積もりの取り方で手順を解説しています。
よくある質問
Q. 駐車場の車両誘導は何号警備ですか?
A. 公道に接する出入口での車両・歩行者の誘導は、警備業法第2条第1項第2号の交通誘導警備業務(2号)に当たるのが一般的です。施設に付帯する駐車場の場内整理だけを頼む場合は、施設警備(1号)の一部として契約されることもあります。見積書の区分名は契約内容によって変わるため、「どこで・何を誘導するのか」を具体的に伝えて確認してください。
Q. 1人1日の料金はいくらが目安ですか?
A. 公的な目安になるのが国土交通省の公共工事設計労務単価(交通誘導警備員A・B)です。ただしこれは警備員本人の賃金相当(8時間)で、実際の請求額には事業主の必要経費・一般管理費・消費税が上乗せされます。単価は都道府県別で、たとえば交通誘導警備員Bは高知県13,800円〜東京都18,700円と幅があります。自分の県の単価を物差しにしてください。
Q. 深夜や休日は料金が上がりますか?
A. 上がります。深夜帯(原則22時〜翌5時)は労働基準法第37条第4項により25%以上の割増賃金が必要な時間帯で、その分が料金に反映されます。休日・早朝や繁忙期も割増・単価上昇の対象になります。24時間の駐車場を通しで頼む場合は、時間帯ごとの単価が見積書に分けて記載されているかを確認しましょう。
Q. 警備員は全員、交通誘導の資格を持っている必要がありますか?
A. いいえ。検定合格警備員の配置義務がかかるのは、都道府県公安委員会が指定した資格者配置路線などで交通誘導を行う場合で、義務は「場所ごとに1人以上」です(警備業法第18条)。3名配置なら1名が有資格者(A)であれば、残りは無資格(B)でも適法です。全員がA単価で見積もられていないか確認してください。
Q. カラーコーンや看板は料金に含まれますか?
A. 会社によります。保安資機材(コーン・保安看板・看板車など)を警備会社から借りる場合、その費用は警備員の労務費とは別に積算されるのが一般的です。見積を比べるときは、資機材が料金に含まれているか・別途かをそろえて確認しましょう。
まとめ|「1人1日・都道府県別単価・場所ごと1人以上」で考える
駐車場の車両誘導は多くが2号警備(交通誘導警備業務)に当たり、料金は「1人あたり単価×時間×人数」で組み立てられます。単価の物差しは国土交通省の公共工事設計労務単価(令和8年3月適用・交通誘導警備員A/B)ですが、これは都道府県別で、しかも警備員本人の賃金相当にすぎません。実際の請求額には事業主の必要経費・一般管理費・消費税が積み上がり、深夜(22時〜5時)や休日には割増が乗ります。人数は法令の定めがなく、出入口数・台数・動線から現地で決めるもの。有資格者の配置義務は「場所ごとに1人以上」で全員ではありません。これらを同じ条件にそろえて複数社を比較するのが、適正価格にたどり着く近道です。
お近くのエリアで駐車場・車両誘導に対応する警備会社は、次から探せます。
- 交通誘導警備に対応する警備会社を探す/都道府県から警備会社を探す
- 依頼先に迷ったら【無料】警備依頼先診断で条件を整理できます
- 関連記事:警備料金の相場/警備員の単価/必要人数の考え方/イベント警備の料金/建設現場の警備/相見積もりの取り方
【出典・参考】
・警備業法(昭和47年法律第117号)|e-Gov法令検索(第2条第1項第2号・第18条)
・労働基準法(昭和22年法律第49号)|e-Gov法令検索(第37条第4項・深夜割増)
・国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」(交通誘導警備員A・Bの単価、全国加重平均、都道府県別単価、必要経費の参考公表)
・全国警備業協会「警備料金の基礎知識(解説集)」(労務費・事業主必要経費・一般管理費等・消費税の積算構造、保安資機材の別途積算)
※労務単価は2026年7月時点で国土交通省の公表資料、法令はe-Gov法令検索の現行条文と照合しています。本文中の金額・人数はいずれも目安であり、実際は個別の見積・現地条件によります。労務単価は実勢賃金の平均値であって最低賃金や下限規制ではありません。本記事は一般的な情報提供であり、個別案件に関する法的助言ではありません。
